京都散策・25 【宇治界隈】

今晩(5/10)は、梅田で勤め人時代の同期と呑む約束をしている。5月下旬に関西地区の同期が集まるのだが、(定年を祝う会)その前に一度会おうということになった。大阪から東京に転勤し定年を迎えた同期が5月の連休を利用して大阪にやってきていたから、仲の良かった4人で酒を酌み交わすことにしたのである。(1人は現役、1人は再雇用、私を含めて2人が完全に仕事を辞めてしまっている。)

我々は、転勤族で沖縄から北海道、果ては外国まで何処へ行くか全く分からない会社人生を送った。会えば話は尽きない。現役当時は、ライバルでもあったが、逆に同じ釜の飯を食った仲間として一番信頼もしていた。私の入社時は、会社も社会も時間的余裕があったのであろう。半年間、研修所を中心に鍛えられたため、同期100人はある種の共通の心の繋がりが現役を退いても尚ある。仕事を戦場に例えたくはないが、戦友に近いものがあるのかもしれない。

そのプチ同期会が始まるのは18時。梅田へ出る前に、少しだけ京都散策をしてみることにした。かなりの寄り道であるが、時間つぶしには良かろう(笑)。

昼食を早めにとって12時頃に家を出た。

向かうのは宇治方面である。GW中、何度も宇治に出かけようとして、結局、他方面を散策していた。常に心の中で引っかかっていたのが三室戸寺の石楠花、躑躅平等院の藤だったのである。今日は、それらの花巡りをしたい。いつもならば折り畳み自転車で輪行していくのだが晩のこともあり、今日は徒歩で回る。

天気は晴れ後曇り。13時過ぎの三室戸寺駅は雲が浮かんでいるものの青空が広がっており、思ったより気温も高くなく気持ちが良い。頬を撫で、髪を微かに揺らす風はどこまでも爽やかである。湿気が少ないのであろう。

10分少々、なだらかな坂をのんびりと登ってゆくと三室戸寺に到着。三室戸寺は花の寺。石楠花、躑躅、紫陽花、蓮と毎月様々な花が咲き続け紅葉も亦美しい。

過去5年を調べてみたところ石楠花と紫陽花と蓮は毎年見に来ている。それだけ絵になるからであるが、躑躅に関しては、見頃の時期に訪れているのは1度きりである。石楠花と紫陽花の中間に咲くからで、石楠花が満開の時、5分咲程度に躑躅が咲いているので、それでヨシとしてしまうからである。(躑躅は別途、奈良の長岳寺や船宿寺などへ見に行っていることもあるが。)

さて、今年の石楠花と紫陽花は如何に?

山門を潜ると小川を挟んだ向かいの丘陵が全て躑躅で彩られていた。思わず「ホウ!」と呟いてしまうほど鮮やかな躑躅。満開である。

その数2万本だどうであるが、1本残らず全てが開花している。今日は平日である。紫陽花と異なり、観光客はまばらである。5,000坪の庭園に十数人いるかいないかで、これほどの景色を独り占めしている気分になれる。

HERZのラックスリュックからLeicaXVarioとSONYα6000を取り出してパチリ。広大な庭園なので、どこを切り取るのか中々難しい。

私の背丈より遥かに高い躑躅の中の小径を登っていくと、やがて石楠花の谷へ。

流石に石楠花には遅く、8割方は枯れている。昨年は春の訪れが早く、シャクナゲ園の公開初日の4/25に行ったにもかかわらず、ほとんど散っていたという惨状であったが、今年は5/10でも昨年の4/25と状況は変わらなかった。逆に、今までよく持ちこたえていたというべきであろう。まだ幾つかは見頃や蕾の花もあったのだが、私の好きな撮影ポイント辺りの石楠花は終わっていた。残念だが致し方ない。新緑に囲まれた三重塔のみを遠望。

更に山の上まで登っていくと道にシダが芽を出していた。オシダ科のようにも思えるが私はシダに詳しくないので分からない。造形的に面白いのでパチリ。

再び、躑躅の間を抜け、石段を登り本堂へ。お詣りして三重塔の元へ。塔の奥は立ち入り禁止である。10年前までは入ることができ、そこに咲くリキュウバイを見ることができた。白く可憐な花で誠に塔に似合うのであるが、今では咲いているか否かも確認できない。いつも残念に思うのであるが、こればかりは致し方ない。

再び本堂へ戻る。流石に紫陽花も蓮も全く咲く気配もないが、トンボだけは孵化していて蓮の鉢の周りを飛び回っていた。季節の移ろいが早い。

三室戸寺を後にしてブラブラと坂を下り、そのまま歩いて宇治方面へ向かった。目的は平等院の藤である。京阪宇治駅、そして宇治川を渡り、平等院へ。距離的には大したことはない。(でも結局2万歩を越えてしまったが・・・。)

まず、平等院入口前の藤棚をみて満開であったら、拝観料を支払い境内の藤と鳳凰堂を写そうと考えていたのである。

今年は、春日大社の砂ずりの藤も今一つだったので、平等院に期待していたのだが、こちらは時期が遅すぎた。半分ほどが萎れてしまっていた。平等院の近所に住む方も見に来ていて、「そろそろ見頃と思っていたのに・・・。」と項垂れていた。ガッカリの気持ちは良く分かる。写真を日記にUPする気にもなれない(笑)。

そんな状態であったので境内に入る気力もなくなり、そのまま宇治川沿いを歩き、中之島に渡る。十三重石塔を見上げる。この石塔と奈良の般若寺の石塔は日本の十三重石塔の白眉であると思う。

再び宇治川を渡り宇治神社あたりにさしかかると、僅かであるが雨が降りだした。

木陰で雨宿りしていればすぐ止みそうである。宇治川の川面を見ると鵜がいて、その周りを燕が飛び回っていた。

川縁の石に腰かけ鵜を眺めていたら、黒猫が音を立てずに歩いてきた。低い姿勢のまま抜き足差し足で極めてゆっくりとハクセキレイを狙っている。襲いかかるには絶好の位置まで近づいたが、僅かナタイミングのズレがあってハクセキレイは飛び立った。

そんな観察をしているちに雨も止んだので立ち上がると頭上に羽虫の群れ。それも尋常の数ではなく100mほどに渡って虫のトンネルができていた。ウンカであろう。ツバメやハクセキレイが飛び回っていたのも理解できた。

こりゃ、たまらないと少し急ぎ足で宇治駅に向かった。

最後にウンカの大群に少々驚かされたが、これで今回の宇治界隈の散策は終了。三室戸寺躑躅は本当に見事であったので満足である。

宇治駅から京阪電車、そして大阪市営地下鉄と乗り換え東梅田へ向かった。

そして久しぶりに、いつもの店で夜半まで痛飲。定年退職したとはいえ、矢張り同期と馬鹿話をするのは楽しいものである。

また、次回が楽しみである。